
雑談から始まった小さな勉強会が、
経営改善の最前線&若手の心の支えに。
福井大学には、附属病院がある。病院の勤務には、医療や病院経営の専門的な知識が必要なため、知識不足を感じたり自分のキャリアに不安を感じる職員も多かった。そこで始まったのが若手職員の自主勉強会。今ではDX推進や若手職員の相談の場として欠かせない存在に。
-
Y.H
所属:医療サービス課
-
M.H
所属:経営企画課
-
M.A
所属:医療支援課
-
Y.M
所属:経営企画課
きっかけはCOVID-19
2020年頃ですよね。私は大学の財務部などを経て、病院部の医療支援課に異動したばかりの時。病院部には同年代の職員も少なく、また医療関連の知識が必要とされる職場。福井大学での勤務は5年目になっていましたが、これまでやってきた業務との違いにけっこう戸惑っていた記憶があります。
若手のM.A.さん、Y.M.さんは、病院部配属と聞いてどうでした?
「大学職員」というと、やっぱり学生さんの支援というイメージが強く、学生支援をしたいという憧れがありました。もちろん、病院部に配属になる場合もあるということは知っていたのですが、「病院部勤務です」と言われた時は驚きました。まさか1年目で病院部!?正直、心の準備ができていませんでした(笑)
私も最初はびっくりしました。「配属先は経営企画課です」と言われた時は、病院の経営企画って何をするんだろう?と、とても不安でした。
そうなんですよ。そもそも病院って、どうやって収入を得ているのか詳しく知らなかったし、「レセプト」って言葉も初めて聞くし、自分の部署がどんな役割を果たしているのかも分かりませんでした。
私自身、病院部の専門的な知識で苦労してきたので、「これを勉強すればOK!」みたいな目安を若い人たちに伝えたいと、ずっと思っていました。そこにコロナによるコミュニケーションの断絶がやってきて…。やれたらいいなではなく、やらないといけないという危機感を感じて、勉強会を企画しました。

上司にバレて…「よくやった!」と(笑)
今でこそ人数も増えましたが、最初は「お昼休みにちょっと…」という感じで、雑談ベースで始めたんですよ。医療サービス課の有志5人で。上司にも内緒で(笑)
私もY.H.さんに声をかけてもらって、参加しました。同年代の職員で集まって話す機会ができて嬉しかったですね。それに、病院の知識がなかったので、初歩的なことから分からなくて困っていたので、これってどういう意味ですか?とか、こういうことしたいけどどうすればいいですか?みたいな、些細なことからしょうもないことまで、なんでもY.H.さんに聞いていました(笑)当時はそんな形式でしたね。
そうそう。だいたいひと月に1回ペースで始めたんです。それが初年度。で、3ヶ月経った頃に上司にバレて…無断でやっていたから叱られるのかな、と思っていたら「よくやってくれた!」と(笑) そこからは病院部全体でやっていこう、となり、医療サービス課だけの勉強会から、病院部全体の勉強会になっていったんです。
病院部の仕事は幅広くて、自分が担当している業務だけでなく、他課の業務も理解しないとついていけないなと感じていた時でした。病院部全体に広がったことで、さらに横のつながりが強くなりましたし、病院部全体でどんな業務をしているのかも分かるようになり、仕事がやりやすくなっていきました。
たしかに、勉強会のおかげで病院部の先輩に話しかけやすくなりました。病院内には様々な部署がありますが、話しやすい先輩が増えたことで、気軽に相談できる部署が増えました。知人がいない部署でも、先輩に仲介してもらって、スムーズに相談できたこともあります!
たまたま廊下でM.A.さんに会って、「今から運営管理課に行くんですが、知り合いがいないので、付いてきてくれませんか?」と言われ、そのまま一緒に行きました。気軽に相談してくれるのは、先輩としても嬉しいですね(笑)
病院の基礎知識も身について、自分のやるべきことも見えてきました。今では約20名が参加していますよね。勉強会は基本的に業務時間内に開催されますが、参加率はかなり高いです。若手の背中を押してくれる上司が多いことも、勉強会が継続できている要因の1つだと感じています。

若手勉強会がプロジェクトチームに
上司にバレてからしばらくした頃、部長から「新規患者を獲得するためにどうしたらよいか?若い人の意見が欲しい」という依頼が下りてきたんです。
これをきっかけに、勉強会が「プロジェクトチーム」としての役割も生まれてきました。病院経営の改善という大きな仕事に携われるということで、みんなワクワクしていましたよね。
さっそく勉強会で検討し、3つの「やるべき課題」を立て、課題ごとにチームを編成しました。取り組んだのは①ホームページの改良、②LINE活用による患者さんの利便性向上、③インスタやYoutubeなどSNSの活用…という3つの課題です。患者さんへのお知らせはどうしているのかという現状の調査から始めて、他病院の事例研究、LINE活用にあたってのメリット・デメリット、当院の方策などをまとめました。
それをパワーポイントにまとめて、部課長連絡会でプレゼンしましたね。初めての経験だったので、とても緊張しましたけど(笑) 私としては、経営企画とはどういうものかを実践的に勉強するとてもいい機会になりました。
ちょうど入職1年目の時、私は②のプロジェクトに参加しました。普段の仕事もやりつつ、プロジェクトの仕事もやっていたので、当時は大変でしたけど、今思うと、1年目から企画の仕事という貴重な体験ができたのは、すごくよかったなと思います。
病院のホームページも、チームの提案を参考に作り直したんですね?
そうそう。LINEプロジェクトは現在進行形で、SNS活用は今後取り組んでいくべき課題として引き続き検討しています。

若手職員の心の拠り所に
若手勉強会は、月1回開催していて、病院部の仕事に必要な知識を1年かけて習得するプログラムになっています。ちなみに、講師も若手なので、和気あいあいとした雰囲気です。勉強会の終わりには振り返りの時間を作っていて、勉強会の質問だけでなく今後の自分のキャリア相談、プライベートな相談なども自由にでき、職員同士の横のつながりを深められる場になっています。
知識を身につける部分だけではなくて、むしろ職員同士の繋がりの部分も重要な気がしますね。ゆるいメンター制度みたいな。
部署を離れて年の近い先輩と話せる時間があると息抜きにもなりますよね。複数の部署を経験した先輩の話を聞いて、自分のこれからのキャリアがより具体的にイメージできるようにもなりました。
年が近いから、悩みも共通する部分が多くて、プライベートな相談もしやすいです。専門的な知識を求められる病院部だからこそ、職員同士の繋がりがあることが支えになっています。

部署の壁を越え、経営層も期待する
プロジェクトでは、最近ではRPA(事務効率化ロボット)を含んだ「DX」をテーマにやりましたね。若手勉強会は、経営層も期待する集まりになってきたように思います。
DXプロジェクトは、各課のルーチン業務を洗い出して、IT化・DX化を提案することで、病院部全体の業務効率化を進めるプロジェクトです。所属部署は関係なく、病院部内を横断的に活動しました。例えば、医療支援課のルーチン業務を、総務課と医療サービス課の若手職員が調査して、IT化・DX化を提案するといった形です。普段担当している職員とは別の視点で業務を見直すので、高い改善効果が得られたかなと思います。
「DXプロジェクト」の取り組みは他大学からも注目され、全国の国立大学病院職員が集まる「大学病院マネジメントセミナー」で、業務改善の優良事例として発表する機会を得ました。
私は現在、RPAロボットを作成しています。きっかけは、先輩職員がRPAロボットを活用している姿を見たことです。私も使いたいと思い、若手勉強会で開催したRPAロボットの作成教室に参加しました。RPA担当の職員と一緒に、試行錯誤しながら楽しく作っています。
部署が違えば話す機会も少なくて、分からないことがあっても誰に聞けばいいのかさえも分からない。けれど勉強会に集まる人たちを糸口にいろんな部署へのつながりが自然と広がっていき、部署の壁を越えいろんな企画提案ができる、そんな豊かな土壌が育まれていると思います。

若手勉強会のこれから
若手勉強会に参加して、知り合いが増えたことが一番よかったと思います。あと、プロジェクトを経験したことで自分に自信がついて、新しい取り組みにどんどんチャレンジしていきたいという気持ちが強くなりました!
私も同じ意見です。若手勉強会で学んだことが、自分の仕事の指針になっていて。参加して本当によかったなと思います!初期メンバーのお二人はどうですか?
企画当初は、こんなに大きな存在になるとは全く思っていませんでした(笑)これから大学は大きく変化していきますが、仕事をする上で「基礎知識」と「職員間のつながり」が必要であることは変わらないと思います。若手勉強会を通じて、今の若手職員が、今度は先輩として後輩を育成していく、病院部に配属された職員が不安なく仕事ができる、そんなサイクルが回って、事務局をもっと活性化させていければいいなと思います。
私は、この若手勉強会が病院部で働く上で大きな支えになりました。今後は、この若手勉強会を引っ張っていく先輩として、Y.Hさんが始めた熱い想いを受け継ぎたいと思います。同年代の職員と交流したい!業務に必要な知識を向上させたい!と感じている職員は、病院部だけではないと思います。後輩達のためにも、病院部の枠を超え、他部署の職員も巻き込んで、事務局全体のモチベーションが向上していくといいなと思います。

この勉強会のきっかけは、コロナだったんです。みんなマスクをしてましたよね。当時私は人事で採用の仕事をしていたのですが、新しく入ってきた人たちが「同期の素顔を見たことがない」と言っているのを聞いて、これはまずいな、と。