人の役に立つ。それが原動力
座談会の参加者は30代の職員たち。 勤続10年前後で複数の部署を経験し、今、最も仕事に乗っている3人。
といっても、勢いだけではない。大学という職場を冷静に見られるようになった年代でもある。
そんな彼らが、新人時代から昨今の現場のあれこれまで、“大学職員”を縦横無尽に語った。
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川岸 拓弥Kawagishi takuya
所属:人事労務課
2011年度入職 -
牧本 尚也Makimoto naoya
所属:財務課
2009年度入職 -
畑 智江美Hata chiemi
所属:入試課
2005年度入職
教育分野は人を幸せにする仕事
だから大学職員を選んだ
就活当初、“大学職員”は全く眼中にありませんでした。ベンチャー企業のインターンシップにも参加していましたし。でも、同じ仕事をするのなら、人を幸せにする職業がいいなと思うようになって、それなら教育分野じゃないかと。教育機会の提供とか、運営に携わりたいと考え始めました。そしたら、自分の地元の本学が職員募集をしていたんです。これはもう運命でしょう(笑)。
私は学生をサポートできる仕事っていいなと思ってました。大学生のとき、人並みに事務局にはお世話になり、職員と学生との距離も近くて、のんびりしていて、いいイメージでしたから。
僕の志望動機も畑さんに近いです。院生のときに、教務課から“この履修登録では卒業できないよ。もう一つ追加しないと”とアドバイスをもらったんです。あれがなかったら修了できなかったし、今ここにいなかった(笑)。そこにちょうど、職員採用の募集があったんです。それでもう、“学生をサポートするぞ!” と意気込んで就職したんですが、あれから11年、まだ、学生と接する部署に配属されたことがない…(笑)。
学生サポートだけじゃない
大学職員の仕事は
バリエーションに富んでいる
大学生のときに接する職員は学生担当だけなので、それで大学職員のイメージができてしまうんですよね。実際には、学生サポートって、大学職員の仕事の一部門。僕は最初の部署が経理で、その後、病院部に異動しましたが、就職の際、病院勤務は全く想定していなかったです。病院部では直に患者さんとコミュニケーションをとる医療福祉系の仕事で、患者さんに合わせて公的補助とかサービスの説明などをしていました。想定外の仕事でしたけど、患者さんの役に立っていると思えたのはよかったです。
僕は最初、財務課に配属されて、“電卓叩いて計算するんだろうな”と思っていたら、予算の概算要求の仕事でした。これは、本学の魅力をいかにうまく伝えられるかという文章力が問われるんです。それで仕事のために最初に買った本は、『簿記の書き方』ではなくて、『よく分かる文章の書き方』でした(笑)。今は人事労務課ですが、人件費の計算が細かくて、連日電卓を叩く日々です(笑)。だから僕の場合は、大学職員自体に先入観はなかったんですが、各部署の業務に思い込みがあって、実際には、予想以上に、いろいろな仕事があるんだと分かりました。
私も学生時代は窓口でしか職員を知らなかったので、大学職員は、事務職というよりも、学生へのサービス業というイメージが強かったですね。ところが最初の部署は総務で、資料づくりなどの事務仕事。大学なのに、学生を見かけることもなかった(笑)。8カ月で医学部の教務に異動し、ここで学生のサポートをすることになりました。それがすっごく細やかなんですよ!私が大学生だったときと比べると、考えられないくらいの細やかさ。私、就職試験の面接のとき、自己アピールとして“一人一人の学生さんに合わせて、きめ細かくサポートしたいです!”と言いました、確かに言ったけど、本当にここまでするのか!っていうほど細かくて、サービスの良さにびっくり(笑)。
一人一人の履修状況を把握するんですか?
そうです。教務のときの担当は看護学科の250人。特に3年生や4年生については、卒業のために必要な科目が履修されているか、単位が足りているかをチェックします。実習も入ってきますから、みんな忙しい。それで“卒業のためには、ここでこの単位を取っておきなさいよ”と、アドバイスをするんです。細やかに見ているので、その分、学生にはよくお礼を言われて、“役立っている感”は大きかったです。
やはり、人の役に立っている実感が仕事のモチベーションになりますよね。
そうだと思います。教務の仕事は、先生や学生などたくさんの人と接するので、うれしいことも多かったんですが、思い通りにいかないことも多くて、これまでで一番、喜怒哀楽が激しい時期でした(笑)
外部研修で知識と仲間が広がった
川岸さんは2年間、研修で文科省に行っていたんですよね。
はい、27歳のとき。座学もあるし、施設見学といったイベント的なこともあるんですけど、研修の中心は、文科省の一員として働くことでした。大学は文科省との関わりが大きいので、文科省がどんな仕組みで動いているのかを見ることができたのはよかったです。こちらから文科省に問い合わせるときも、向こうの状況がある程度分かるようになったので、こういうふうにアプローチすればいいかなと考えられますし。それと、年代も同じような研修生100~200人が全国から集まったので、学生に戻ったような気分でした。慣れない環境で一緒に奮闘しているので、強い仲間意識が生まれて、戦友みたいな感じ。研修が終わって、みんなそれぞれ本来の職場に戻りましたが、交流は続いています。ほかの地方の状況を聞きたいときには、“そっちはどう?”って気軽に連絡ができるし、そういう仲間が全国にいるのはありがたいですね。
私は2年間、名古屋で勤務していたことがあります。東海・北陸の大学や高専などが合同で職員募集を行う事務局に、福井大学の職員として派遣されました。就活生向けに説明会を開くんですけど、合同ですから、うちの大学のメリットだけを語るわけにはいかなくて、ほかと調整しながら進める必要がありました。本学とは違う大きな規模で事務局の仕事を経験できて、視野が広がったと思います。
休日をしっかりとって
リフレッシュ
これまで、複数の部署に勤務しましたが、同じ大学にいても、ほかの部署のことは、なかなか分からないものですね。入試課の雰囲気ってどうですか?
入試についての仕事はやるべきことが決まっていて、いろいろできるのはオープンキャンパスですが、それはもう、のびのびと自由に企画させてもらっています。備品も潤沢で、タブレットが使い放題(笑)。
うちの部署は業務ごとに担当が分かれていて、一つのチームは上司を入れても4人ほど。少人数なので小回りが利きますし、相談しやすい雰囲気ができていますね。
最近、財務課さん、ハツラツとしてません?
今、20~30代の若手が多いんですよ。かなりクリエイティブだと思いますよ。機動力と柔軟性に富んだ財務課です(笑)。
大学にはいろんな部署があって、仕事の内容も多岐にわたっていますから、大学職員の適性って、気にしなくてもいいんじゃないでしょうか。異動もしますから、どんな人でも自分に向いている仕事があると思いますね。
なるほど、それは言えるかも。大学全体としては、これから年が明けて年度末までが忙しさのピークですね。川岸さんの人事労務課も僕の財務課も夏は比較的余裕がありますけど、入試課は夏が忙しいんじゃないですか?
夏休み前に入試の要項が決まるので、広報活動が始まって、高校を回ったりします。7~8月のオープンキャンパスは、やはり張り切りますね。でも、入試課って、すばらしくワーク・ライフ・バランスのいい部署ですよ。
えっ、そうなんですか!
入試課は、土曜や日曜は出ずっぱり、というイメージがあるんですけど。
それは入試の時期ですね。それも振替休日が取れますし。入試課の何がいいかというと、年間スケジュールが決まっていることです。“ここまでにこの作業をする”という、個々の仕事のスケジュールが立てやすいんですよ。だから、プライベートの予定も立てやすい。私、今年で入試課4年目ですけど、就職して以来、一番たくさんお休みをいただきました!
おーっ!
人事労務課も、入試課に負けす劣らず、休みは取りやすいですよ。上司もきちんと休んでくれるので。こちらも休みやすい。
え~、そうなんだ。確かに、社会の流れもあって、年を追うごとに休日は取りやすくなっていますね。部署や時期によって忙しさの波は違いますけど。
そのあたりを平準化できないかなと、個人的には思いますね。
今後はさらに働き方改革が進んでいくので、期待しましょう(笑)。
大きく変化する社会環境に
柔軟な姿勢で
大学の運営と魅力発信の
一端を担う
今、社会の変化が激しくて、とことん自動化や機械化がされてますよね。自分たちに求められるのは企画だったりしますが、同じ事をやっていてももう通じないし、前例の中にも答えが見つからない。そういうことが、これからより際立ってくると思うんです。職員個人も、部署自体も、柔軟性が大事かなと。そういう変化を楽しんでいける気持ちとか、仕事のやり方とか、自分自身も変わっていく必要がありますね。お二人は今後の目標や、目指す大学職員像とかありますか?
僕は、多忙な先生方のフォローができないかなと思ってます。先生って、本当に研究が大好きなんですよね。ただ、どうしても研究以外の事務的な仕事って付いてまわるじゃないですか。
あ~、確かに。
大学の魅力って、教育と研究でしょ。先生方が今以上に教育や研究に専念できる環境をつくってあげる。それが大学の活力をさらにアップさせることにつながるんじゃないでしょうか。だから事務局でも職員でも、先生をトータルサポートできるようにならないかなあと、常日頃思っているんですけど。
そうですよね。私も本学が教育や研究の魅力で選ばれる大学であって欲しいと思いますから。偏差値で受験する大学を決める高校生は多いでしょ。“本当は第一志望じゃないんだけど、偏差値だとこの大学かな”という選び方をしたら、入学できても、意欲も満足度も今ひとつ。本来はそうじゃないと思うんですけど。“福井大学にこれを学びに来た”という学生を増やすために、今以上に本学をアピールしたいですし、本学ならではのアピールポイントを見つけたい。そのためには、私自身も、もっと先生方の研究や教育について知らなくてはいけないですね。
所属等は、取材時(2019年12月20日)現在
僕は本学に新卒での就職です。おふたりもそうですよね。志望動機を覚えていますか?